オンライン会議や研修でよく使われるMicrosoft Teamsには、参加者を少人数のグループに分けて話し合える「ブレイクアウトルーム」機能があります。
ブレイクアウトルームを利用すると、メイン会議を開いたまま、個別相談、グループワーク、ロールプレイ、ブレインストーミングなどを並行して実施できます。研修やワークショップで参加者の発言機会を増やしたい場合に有効な機能です。
この記事では、Teamsのブレイクアウトルームについて、作成方法、使い方、制限事項、安定して運営するための実務上のポイントを解説します。
この記事を読むことで、つぎのことが分かります。
ブレイクアウトルームの特徴と制約を理解し、目的に合ったTeams会議を設計しましょう。
ブレイクアウトルームを作成する前に、利用条件を確認しておくことが重要です。とくに、運営担当者の端末、参加者のアカウント種別、会議の参加人数によって、利用できる操作や運用方法が変わります。
ブレイクアウトルームの作成・管理では、つぎの点に注意しましょう。
ブレイクアウトルームの運営担当者は、WindowsまたはMacのTeamsデスクトップアプリを利用しましょう。「PC推奨」ではなく、司会やルーム管理を担当するメンバーにはデスクトップアプリを必須と案内する方が安全です。
参加者はWebブラウザ、スマートフォン、タブレット、電話などから参加できる場合があります。ただし、自己選択での移動、入退室、チャットなどの操作性は端末によって異なります。研修案内には、参加者の推奨環境に加えて「運営側はWindows/MacのTeamsデスクトップアプリを利用する」と明記すると、当日の問い合わせを減らせます。
外部参加者を含むB2B研修や勉強会では、アカウント種別も確認が必要です。Microsoft Teams(無料)アカウントは、組織の会議におけるブレイクアウトルームへ割り当てできません。参加申込時に利用アカウントや参加方法を確認し、必要に応じて会社アカウントでの参加を依頼しましょう。
ハイブリッド研修でTeams Roomsなどの会議室端末を使う場合は、OS名だけで利用可否を判断せず、実際の端末・役割・Teamsクライアントのバージョンで確認してください。Teams RoomsはWindows版・Android版ともに更新が継続されているため、端末を最新の状態にしたうえで、本番前にメイン会議への参加、ブレイクアウトルームへの移動、メイン会議への復帰までテストすることが大切です。
ブレイクアウトルームは、少人数での分科会やグループディスカッション向けの機能です。一方、大規模な配信イベントにはTeams Town hallが適しています。Teams Live Eventsは2026年6月30日に退役しており、すでに予定されているイベントは2027年2月28日までサポートされます。社内研修やイベントを設計する際は、「少人数の双方向セッションはブレイクアウトルーム」「大規模配信はTown hall」と使い分けるとよいでしょう。
ブレイクアウトルームを利用できるのは、参加者が300人までの会議です。300人を超える会議ではルームを作成できないため、申込数が上限に近い研修では、定員設計の段階でブレイクアウトルームを使うか決めておく必要があります。大規模配信が必要な場合はTown hall、複数の小規模会議へ分割する構成などを検討しましょう。
管理権限は会議主催者だけでなく、主催者組織内のプレゼンターに「ブレイクアウトルーム マネージャー(breakout room manager)」を任命して分担できます。大人数の研修では、司会、タイムキーパー、ルーム管理、問い合わせ対応を分けると、トラブル時にも対応しやすくなります。
当日の操作を減らすには、会議予約後にルームを作成し、参加者を事前に割り当てておく方法がおすすめです。誰がどのルームに入るかをあらかじめ決めておけば、開始直後の混乱を抑えられます。ただし、外部参加者、匿名参加者、電話参加者、会議室端末が含まれる場合は、想定どおりに割り当て・移動できるかを本番前に検証してください。
ブレイクアウトルームの作成方法は、主に次の2つです。
グループセッションを実施することが決まっている場合は、会議予約後にブレイクアウトルームを作成しておくとスムーズです。会議の予約・招待送信が完了していないと、設定画面にブレイクアウトルームの項目が表示されないことがあります。
ブレイクアウトルームを事前作成する手順は、つぎのとおりです。
これで、ブレイクアウトルームの事前作成は完了です。
定期的な社内トレーニングなどの繰り返し会議では、設定したルームの割り当てが、主催者が変更しない限り今後の開催回にも適用されます。定例研修では準備負荷を抑えられる一方、参加者構成が変わった場合は、次回開催前に名簿と割り当てを必ず確認しましょう。
デフォルト設定のままでもブレイクアウトルームは利用できますが、ルーム名、タイマー、自動移動、参加者の自己選択を目的に合わせて設定すると、進行しやすくなります。
ここでは、ブレイクアウトルーム名の変更と、主なオプション設定を紹介します。
ブレイクアウトルーム名を変更する手順は、つぎのとおりです。
ルーム名は「Aチーム」「営業ロールプレイ」「新規事業案」など、参加者が目的を理解しやすい名称にしておくと便利です。
ブレイクアウトルームでは、タイマー、自動移動、参加者の自己選択などを設定できます。画面上の表記や配置はTeamsの更新により変わることがありますが、特に重要なのは「Automatically move people to rooms」、つまり参加者を自動的にルームへ移動させる設定です。
設定手順の例は、つぎのとおりです。
「制限時間を設定する」をオンにすると、指定時間の経過後にブレイクアウトルームを閉じ、参加者をメイン会議へ戻せます。終了5分前にアナウンスを送り、時間になったら自動で戻す流れにしておくと、研修のタイムキーピングがしやすくなります。
「Automatically move people to rooms」がオンの場合、参加者を手動またはランダムに割り当ててルームを開くと、参加者は各ルームへ自動的に移動します。オフの場合は、参加者自身が参加操作をおこないます。割り当て方式と自動移動は別の設定です。司会台本には「割り当て方法」「自動移動のオン・オフ」「自己選択の可否」を分けて記載しておきましょう。
参加者の自己選択を許可すると、参加者自身が開いているルームを選んで移動できます。トピック別セッションや交流会では便利ですが、端末や参加方法によって操作性が異なることがあります。スマートフォン参加者が多い会議では、自己選択を前提にせず、主催者側で割り当てる進行にした方が安全です。
アクセシビリティへの配慮も重要です。スクリーンリーダーを利用する参加者がいる場合は、ブレイクアウトルームを開く前に移動のタイミングを口頭で案内し、通知を確認できるよう数秒の余裕を設けましょう。
なお、各ルーム内でのマイク、カメラ、チャットの利用可否は、会議設定や組織ポリシーに依存します。ブレイクアウトルームへ入室した直後は、参加者のマイクやカメラがオフになっている場合もあります。開始時に音声確認の時間を取ると進行がスムーズです。議論内容を後で回収したい場合は、終了前にメイン会議のチャットや共有ドキュメントへ要点をまとめるルールを決めておきましょう。
会議中に急な個別相談やグループ検討が必要になった場合は、その場でブレイクアウトルームを作成できます。
会議中の作成手順は、つぎのとおりです。
ランダムに参加者を分けたい場合は、シャッフル機能を利用すると便利です。アイスブレイクやワークショップで、普段話さないメンバー同士の交流を促したい場合に向いています。
会議中にルームを追加した場合も、参加者の移動方法は「割り当て」と「Automatically move people to rooms」の設定によって変わります。自動移動をオンにしていれば、ルームを開いたタイミングで参加者を移動させやすくなります。一方、端末差のある参加者や個別調整が必要な参加者がいる場合は、運営担当者が確認できる体制を用意しましょう。
これで、ブレイクアウトルームの作成は完了です。
ブレイクアウトルームを作成したら、実際に開いて参加者を移動させます。ここでは、開始、入退室、一斉アナウンス、終了の基本操作を解説します。
ブレイクアウトルームを開始する手順は、つぎのとおりです。
「Automatically move people to rooms」がオンの場合、ルームを開くと割り当て済みの参加者は自動で移動します。オフの場合は、参加者自身が参加操作をおこないます。開始直後に全員を一斉移動させるのか、説明後に参加者自身で入室してもらうのかを、事前に決めておきましょう。
スクリーンリーダー利用者への配慮として、移動前に口頭で次の操作を案内し、通知を確認する時間を取ると安心です。
主催者やブレイクアウトルーム マネージャーは、各ルームへ入室して進行状況を確認できます。
入室手順は、つぎのとおりです。
別のルームへ移動したい場合は、いったん現在のルームから退出し、同じ手順で別のルームに参加します。大人数研修では、各ルームを巡回する担当者を決めておくと、質問対応や進行確認がしやすくなります。
参加者自身が自由にルームを移動できるかどうかは、自己選択の設定や参加端末によって変わります。参加者の端末が多様な場合は、主催者側で移動を管理する進行にすると混乱を抑えられます。
残り時間の案内や次の作業指示を伝えたい場合は、すべてのブレイクアウトルームへアナウンスを一斉送信できます。
手順は、つぎのとおりです。
たとえば「終了5分前です。代表者は発表内容を1分でまとめてください」のように送信すれば、各ルームにスタッフを配置していなくても、全体の進行をそろえやすくなります。
ブレイクアウトルームを終了し、全体会議に戻す手順は、つぎのとおりです。
すべてのブレイクアウトルームが閉じられ、参加者はメイン会議へ戻ります。タイマーを設定している場合は、指定時間の経過後に自動でルームを閉じる運用も可能です。戻し忘れを防ぐため、研修やワークショップではタイマーと一斉アナウンスを組み合わせることをおすすめします。
ルームを再度開く際は、参加者の割り当てを確認してください。途中でメンバーを組み替える場合は、再オープン前に再割り当てをおこないましょう。会議中の再構成は可能ですが、進行を止めないためにも、固定グループで進めるのか、途中でシャッフルするのかを事前に決めておくことが大切です。
ここでは、Teams会議をより使いやすくするための機能を3つ紹介します。
Teams会議では、背景にオリジナル画像を設定できます。研修やセミナーでは、名刺風の背景、イベントタイトル、簡単なアジェンダを表示すると、参加者に情報を伝えやすくなります。
オリジナル背景の作成方法には、主に次の2つがあります。
就職内定者向け説明会や採用イベントなどでは、背景に自分の名前や所属を表示しておくと、参加者に覚えてもらいやすくなります。無料で使える背景作成サイトとしては、バーチャル名刺背景ジェネレーターなどがあります。
Canvaには、Teams背景向けのテンプレートが用意されています。セミナーのチラシやアジェンダを背景に入れたい場合にも便利です。
Canvaで背景画像を作成する手順は、つぎのとおりです。
作成した画像をTeams会議の背景に設定する手順は、つぎのとおりです。
背景画像を使う場合は、文字が左右反転して見えないか、顔や資料と重ならないかを事前に確認しておきましょう。
参加者の多い会議やセミナーでは、発言者以外のマイクがオンになっていると雑音が入りやすくなります。必要に応じて、主催者が参加者を一斉にミュートしましょう。
一斉ミュートの手順は、つぎのとおりです。
ブレイクアウトルーム開始前に、メイン会議で進行説明をするタイミングでも一斉ミュートは有効です。質疑応答の時間を設ける場合は、発言方法やチャットでの質問受付ルールもあわせて案内しておきましょう。
Teams会議では、組織の設定やライセンスに応じて、出席レポート、レコーディング、文字起こし、Microsoft 365 Copilotなどを活用できます。ブレイクアウトルームを使った研修では、各ルームで話し合った内容と参加状況を、終了後の改善につなげる設計が重要です。
主催者は出席レポートから、参加者がどのブレイクアウトルームに入り、いつ入室・退出したかを確認できます。チャットログ、出席レポート、録画を必要に応じて保存しておけば、欠席や離脱が多かったルームの把握、次回の人数配分や進行時間の見直しに役立ちます。
議論内容の回収には、各ルームの代表者にメイン会議で1分ずつ発表してもらう、共有ドキュメントに結論を記入してもらう、会議の文字起こしをもとに後から論点を整理する、といった方法があります。Copilotを利用できる環境であれば、会議のトランスクリプトをもとに、論点、決定事項、次のアクションを整理する用途にも活用できます。
ただし、出席レポート、録画、文字起こし、AI機能の利用可否は、テナント設定、ライセンス、会議ポリシー、参加者への同意取得ルールに左右されます。社外参加者を含む会議では、記録の有無、保存範囲、利用目的を事前に案内しておきましょう。
Teams会議のブレイクアウトルームを使うと、グループセッション、個別相談、ロールプレイ、ワークショップなどを効率よく実施できます。
スムーズに運営するには、会議中にその場で作るよりも、事前にルームを作成し、参加者を割り当てておく方法がおすすめです。運営担当者はWindowsまたはMacのTeamsデスクトップアプリを使い、外部参加者や会議室端末を含む場合は、本番前に参加・移動・復帰までテストしましょう。
また、参加者の自動移動は「Automatically move people to rooms」で制御されます。手動またはランダムの割り当て、自動移動、自己選択、タイマー、一斉アナウンスを組み合わせ、会議の目的に合った進行を設計することが大切です。
参加者が300人を超える会議ではブレイクアウトルームを作成できません。少人数ディスカッションにはブレイクアウトルーム、大規模配信にはTeams Town hallというように役割を分けることで、Teamsをより安定して活用できます。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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